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人事評価のポイント

人事評価制度は、目的を絞り込まないとうまく機能しないものです。その目指すところは、期間業績の管理と向上、会社内の共通目標の示唆、適正な労働分配、人材育成、適材適所への配置、従業員のモラール向上、モチベーション向上、といったもので、どの会社にも共通するものです。
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しかし、八方美人の制度は矛盾が生じて形骸化しやすく、経営者からのメッセージ性も弱くなります。様々ある目的のうちから自社では何を優先するのか、企業理念や経営方針から導き出し、狙いを絞ってパンチの利いた制度作りを心掛けるべきでしょう。

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ルールと基準を事前に明示すること


公平さを欠く「お手盛り人事」や「好き嫌い人事」は多くの従業員が最も嫌うことです。
不公平だと思われることなく、また実際の企業経営に役立つ人事評価を行うためには、事前にルールと評価基準を規程化して明示することが大切です。
従業員に示す評価基準は、従業員ごとに所属部署や担当職務にあわせて具体的に設定するのが理想と言えます。そして、各評価基準は、評価者の主観を排除するたに数値で示すよう工夫すると良いでしょう。

ルールを規程化すること


制度の公平性を担保するため、また煩雑な人事管理業務を合理化するためにも、人事評価の基準、昇給昇格の基準、面接や決裁のフローといった事柄を網羅的にまとめて規程にしておくべきです。
この際、人事評価規程と連動させるため「賃金規程」の見直しを行うほか、組織規程などで会社における職位や役職の資格要件を明確にしておくと良いでしょう。

ルールの変更や後付けは極力行わないこと


制度を機能させ効果を維持するためには、経営者の理解が欠かせません。
せっかく制度を整備したのに、経営者の横やりで特例措置を頻発することになり、仕組みが理解できないくらい複雑になったり、システムが形骸化してしまったりするケースがしばしば見受けられます。
特にベンチャー企業は、株式上場している会社でも数年前は役職員数名だったというようなケースが多く、経営者の意識向上が人事評価を含む内部管理体制整備の最も重要なポイントとなります。

経営計画・予算管理との連動


特にベンチャー企業においては、役職員全員が経営計画に沿って円滑に動くことが何より大切です。
一方、従業員が会社で働く目的は、人によって志向はいろいろあると思いますが、根本は給与を中心とする処遇でしょう。
人事評価制度は、こうした会社と従業員の利害をつなぎ、会社の経営計画と各従業員の業務を連動させるための基幹ツールと言えるでしょう。

では、経営計画と人事制度をどう連動させるか、アプローチの方法は様々あると思いますが、経営計画を部署および従業員単位にブレークダウンして具体的なミッションとして明示し、その達成度合いを基準に人事評価を行う方法が基本となるでしょう。

昇給昇格との連動


人事評価制度は、要するに従業員の昇給昇格のルールですので、評価の結果がストレートに賃金に反映される方が従業員のモチベーションを高める効果は高いと考えられます。
具体的には、査定の結果がどのように昇進昇格に反映されるか規程に詳しく定めるほか、査定の頻度を高める(四半期ごとなど)、査定の結果を翌月の給与から反映させる、といった施策も大切です。

人事評価と昇給昇格を連動させる具体的な仕組みとしては、従業員の職位ランクごとにベース給の金額(またはレンジ)を記載した一覧表(「給与テーブル」、「職能給表」など)を設けたうえで、査定の結果が定量的に職位ランクに反映される方法が一般的なようです。



補足・ご参考


人事評価基準に会社全体の成績を取り入れる


会社としては、末端の従業員にも会社全体のことを考えてもらわなければなりません。そうでないと組織でやっている意味が無くなってしまいます。
従業員全員が遅くまで残業して頑張っているのに会社は赤字続き、社内では皆が成果をあげているはずなのに全体の業績は良くない、といったケースがしばしばあります。
また、従業員単位では、担当外のタスクをやりたがらない、タスク量は少ないのにいつも忙しそうにしている、要員を補充すると既存業務を細分割してしまう、自分だけが働いているような素振りを見せる、といったことも職場では良くあります。

これらの悩ましい事例は、人事評価制度の欠陥によるところも大きいと思われます。
一定の経営計画と人事評価システムを導入している会社でこうしたことが起こるのは、従業員に会社全体の状況が見えていない、あるいは会社全体への貢献意欲が低いためだと考えられます。
こうした事態を防ぐためには、査定基準に、個人成績だけでなく、会社全体または部署全体の成績を盛り込むと同時に、部署内の担当外職務や会社全体への貢献度も査定事項に取り入れるのが良いと考えられます。
とは言え、残念ながら、視野や思考は簡単に広がるものではなく、多くの従業員には効果が薄いかも知れません。しかし、少なくとも既存の管理職者には意識づけを行うべきですし、一般従業員を管理職者に昇進させる際の物差しとしても使えるでしょう。

制度改定時のギャップ調整


制度の改定により、その度合いがドラスティックであるほど、現状とのギャップが生じてしまいます。

<新旧賃金のギャップ>
人事評価制度の改定を行う際に最も悩ましいのがルール通りに処理すると賃金額を大幅に変更せざるを得ない場合であり、ある従業員の現状の賃金が新ルールに基づいて計算される金額よりも多くなってしまうようなケースです。
普通に働いてきたのにいきなり賃金を下げられるのは従業員としては納得のいく話ではありませんし、かといって会社としても合理的かつ公平な評価という主張が出来てしまう訳です。
こうした新旧賃金のギャップに対応する手立てとして、「調整給」であいまいに片づけてしまう方法があります。基本給などの賃金はあくまで新ルールどおりとしたうえで、調整給を上乗せすることで賃金の減額を回避する訳です。

調整給は、非常に便利ではありますが、そもそも制度の形骸化の象徴たるものであり、乱発すると最初から人事評価の基盤が崩れることになってしまいます。
会社が考える適正賃金はあくまで新ルールどおりである旨を本人に説明したうえで、「生活の準備期間として」6カ月程度の期間に限って調整給を支給し事後は打ち切るのが良いでしょう。



<従業員間の役職と賃金のギャップ>
ベンチャー企業など人事制度が十分に整備されていない会社では、同じ役職でも賃金のばらつきが顕著で、役職と賃金が逆転しているケースも多々あります。

現状の賃金に職位や役職をあわせるのは本末転倒なので、これも調整給を使って新ルールに基づく適正賃金ありきで処理するのが望ましいでしょう。

役職と賃金の分離


役職と賃金を直接リンクさせず、間に職位を設けることをお勧めします。
本来は組織の機関は横並びであり、部長は他部署の課長よりも上位にあるべきですが、特にベンチャー企業では組織の粗製乱造が起こりやすく、キャリアのある人材を中途採用するごとに部や課を新設するケースも多々あり、役職給は実態に即さなくなる可能性が高いのです。
また、将来のポスト不足や、キャリアのある人材を中途採用する場合の備えとしても、職位を挟むことにより役職と賃金を切り離すことは有意義と言えるでしょう。

社内でのキャリア形成の道筋を示すこと


その会社で勤めても先が見えないという悩みは、特に若年層の退職理由として大きなウェートを占めているものと思われます。
人事制度を作るうえで、会社の期待どおりに頑張れば、つまり査定基準をきちんとクリアしていけば、社内での出世はもちろん、社会人としてのキャリアも積んでいけるということを具体的なイメージとして抱けるよう配慮すると良いでしょう。
具体的には、役職ごとの資格要件をスキルアップの流れを意識して設計する、その役職に達するまでの所要年月などを明らかにする、能力開発プログラムを査定に取り入れる、といった施策が考えられます。

制度運用体制の整備


人事制度は、制度の設計、諸規程の整備、従業員への説明、給与計算システムの変更といった導入前の準備作業にくわえて、面接や評価など導入後の業務負担も相当なものです。
制度を効率よく運用するためには、担当者を定め、また業務フローを作成して周知すると良いでしょう。

なお、人事制度の設計や諸規程の整備については、相当の専門知識が要求されるため、多くの会社は人事コンサルティングを利用しています。
ITのシステム構築などについても同様のことが言えますが、外部コンサルティングを使う場合の注意点として、一から任せると何がしたいのか分からなくなってしまったり、時間と費用がかさむことになってしまいがちです。
コンサルティング会社を利用する場合は、システムの核とアウトラインは自社で明確に決めてから、その作業を依頼するつもりで臨むと良いでしょう。

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