面接対策
大手ベンチャー企業のCFOとして人事採用に携わった経験をもとに就職活動のポイントをアドバイスします。
<採用する側の視点>
まず、企業側がどういう人材を採用したいと考えているか、個人的な視点をご紹介します。
要するに、給料以上のパフォーマンスが期待でき、不平不満体質で周囲のモチベーションを下げる懸念がなければ、基本的には採用したいと考えます。そのうえで、特に見込みのある人材は幹部候補として採用後も組織的に育成指導していくことになります。
以上を見極めるべく、次の事項に焦点を当てて履歴書の閲覧や就職面接を行います。


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地頭の良さと向上心
事業や組織の拡大スピードが速いベンチャー企業では、慢性的に幹部人材が不足しており、にも関わらず次々に新規事業にチャレンジしていかなくてはなりません。
そのため、欲しい人材の資質としては、現有キャリアや人柄よりも、地頭の良さとベンチャースピリット、向上心が重要となります。
素直さと真面目さ
ベンチャー企業に限ったことではないと思いますが、素直で真面目な人材ほど吸収力に優れ早く大きく成長してくれます。また、上司へのアピールではなく本当に真面目に働いている人は、周囲からも信頼され、次第に統率力がついてきます。
体育会系の人材は、就職に有利であり、実際に採用して良かったと思わせる人材が多いですが、これは素直さと真面目さを培っているためだと思われます。
不平不満体質でないこと
ベンチャー企業で一番困るのは、不平不満体質で周囲のモチベーションを下げる人材です。
プライドが高く向上心の強い人ほどこの傾向が強いので、人事採用で最も気を使う事項です。
現有スキルとキャリア
ベンチャー企業では、これまで何をしてきたかよりも、入社後にどれだけ貢献してくれるか、すなわち人材のポテンシャリティを重視します。
とはいえ、教育訓練を十分に行う余裕がないため、即戦力となり得るだけのスキルを持っている方が当然有利です。
キャリアに関しては、具体的な職務内容よりも、なぜ前の会社を辞めたのか、キャリアプランの中で当社をどう考えているかといった事柄を重視します。
就職面接対策の準備
就職面接は、文字通り一発勝負ですので、緊張するのはやむを得ませんし、また所詮は採用面接官の第一印象で決まってしまうという意見を明確に否定することもできません。
しかし、十分な準備と面接対策次第で、その結果は大きく変わってくることも事実です。
事前に準備すべき事項には次のようなものがあります。
自分の立場と志向を明確にすること
就職活動を始めるにあたり、心構えを新たにすることがとても大切です。
1.現在の自分の客観評価をよく認識すること<
概して、自分が考える自分像と他人の評価とは異なるものです。そして、多くの人が考える以上に労働市場は冷徹です。
就職活動ではごく僅かな時間で評価と判断が下されるので、「文章で書けるキャリアが自分のすべて」と割り切って、肩肘を張らずに臨む方がうまく行くものです。
向上心や覇気は大いに評価されますが、思い上がりや誇大妄想は禁物です。
2.自分の志向を確認すること
人材のパフォーマンスはモチベーションに大きく依存します。
そのため、自分自身の成長ためにも、また採用する企業の側からしても、本人が本当にやりたい仕事を選ぶのがハッピーです。
将来どうなりたいか、どうしても譲れないことはなにか、何がしたくないか、どんなキャリアプランを望んでいるか、といった内面の声をじっくり考えて整理してみると良いでしょう。
履歴書をきっちりと作りこむこと
魅力ある履歴書を作成することは就職活動の大前提であり、履歴書がお粗末だと就職面接までたどり着くこともできません。
企業は、履歴書を見て第一次選別を行い、就職面接では履歴書に記載されたとおり期待できる人材かどうかを確認し、合格基準に達した求職応募者を比較選別することにより人事採用を決定しているのです。
就職面接対策のポイント
残念ながら面接対策にセオリーは存在しません。企業によって社風や文化が異なるうえ、採用面接官の評価基準も文字通り十人十色なので当然のことと言えます。
しかし、必勝パターンはないとは言え、人材の評価には普遍的な要素が多いのも事実であり、そこをきちんと押さえることで就職面接の成功確率が高まるはずです。
ポイントとしては次のような事項があげられます。
1.自分のペースに巻き込むこと
就職面接は、会話をもって自分を買ってもらうことです。そういった意味合いでは、日頃行っている営業面談、プライベートでは異性への対応に似ているかも知れません。
押しが強いのが良いのか、聞き上手が良いのか、純朴なのが受けるのか、その人の個性によると思います。自分の魅力を高める会話のテクニックやパターンはどういうものか、それまでの営業面談や異性への対応における成功あるいは失敗の体験を想起して試してみると良いでしょう。
2.PR点を印象付けること
面接対策の重要なポイントとして、印象付けがあげられます。
就職面接は数段階で行われ、回を重ねるごとに企業の役職の上位者に上って行きます。
採用面接官は、自分が採用基準に達していると評価した人材の中から、一定数を絞りこんで上位者に面接を依頼し、最終面接者は採用の可否を決定します。
ここで重要となるのが、その人材の印象の強さです。評価をランクや点数で行う企業もありますが、同ランク、同点の人材の中から誰を選択するかはひとえに印象点によって決まるのです。
印象付けの要領としては、何か一つに絞ってPR点を強調し、自分の枕詞のように記憶してもらうことだと思います。
実際に、役員会などで人材採用が話題に上ると、「○○社で営業成績1位の○○氏」、「甲子園出場の○○氏」、「行政書士で弁護士崩れの○○氏」、「ホストもどきの○○氏」といったように面接者が紹介することが多いのです。裏を返せば、面接者の記憶はその程度ということであり、忘れられたらアウトということでもあります。
3.言動や態度
言動や態度ももちろん重要です。
好みは十人十色なので確実な評価基準というものはありませんが、ビジネスマナーは最低限求められるはずであり、明朗快活、会話のテンポや反応が良い、落ち着いてしっかりしている、といったところは誰しも好印象をもつでしょう。
身なりはきちんとしていれば問題ないでしょう。もちろん男性はスーツが原則です。
4.質疑応答のポイント
就職面接は会話によって相手の本質を見抜こうとするものなので、質疑応答には神経を集中させて臨まなくてはなりません。
かといって、急に自分を変えることは出来ないので、面接官が話しているときには相手の目を見てちゃんと聞く、落ち着いてしっかりと答える、良い姿勢を保つ、といった基本的なことをまず心掛けましょう。
<答え方>
面接の最初にフリートークを求められるのが一般的です。
具体的には、「自己紹介をして下さい」、「これまでの経歴を聞かせて下さい」、「どんな仕事がしたいか聞かせて下さい」、「将来のビジョンを聞かせて下さい」といった質問からスタートします。
こうした質問の題目は様々ですが、回答の組み立ては共通しています。
①自分はこれまでこういう仕事(あるいは生き方)をしてきて、
②こういうスキルや強みを有するに至り、
③これまでの経験を踏まえて今後はこういう仕事をし、
④最終的にはこうなりたい
という論理構成であり、内容が具体的且つ客観的であるほど、また①から④までの因果関係が分かりやすいほど、回答の精度は高まります。履歴書をきっちりと作りこみ、その内容を暗記しておけば、十分な対応が出来るはずです。
フリートークに続く質問は様々ですが、質問されたことに対して簡潔かつ的確に回答することですがポイントです。
とは言え、一朝一夕で出来るものでもないので、むしろ何とかして自分がPRしたい点に会話を誘導するよう心掛けると良いでしょう。
<質問の仕方>
最後あたりに「何かご質問はありますか」と聞かれることが多いと思います。
経験上、8割方が質問なし、残りも「服装はカジュアルでも良いのですか」、「皆さん残業はどのくらいしてらっしゃいますか」、「福利厚生はどんな感じですか」といった採用する側からすると期待外れの質問をされるケースがほとんどです。
ではどういう質問をされると印象に残るか、一概には言えませんが、特にベンチャー企業を受ける場合は上記のような質問は避けるべきでしょう。ベンチャー企業では、基本的に残業もいとわずたくさん働いてくれる人材こそ求めており、また福利厚生や職場環境の整備も当然のこととして大企業には劣ります。
また、当然求職者はその会社について素人ですから、事業に関する細かい質問は避けた方が無難でしょう。質問の的が外れてしまったり、知ったかぶりの印象をもたれると逆効果になってしまいます。
個人的には、「日本の景気についてどんな展望をもっておられますか」、「貴社のご事業の経営環境の見通しは如何ですか」といった質問がお勧めです。
その企業に勤める従業員にとって、経営環境は非常に重要ですし、企業としてどういう見通しを立てているのかも業績の明暗を分ける重要なポイントです。奇をてらわず、経営の核心をつく質問として印象に残るものだと思われます。
ただし、自分自身にある程度の知識がないと「あなたはどう思いますか」と質問を返されて返り討ちにあうリスクがあるので注意しましょう。
履歴書作成のポイント
履歴書は、定型フォーマットに、自分がアピールしたい事項をまとめた職務履歴書を添付するのが一般的です。
履歴書の書き方のポイントとしては次のような事項があげられます。
個性を出すこと
就職面接の担当者は多くの履歴書を捌いています。履歴書の目的はまずは就職面接に呼んでもらうことなので、その作成においては、無難にまとめることよりも、目立つことを心がけるべきです。普通でスルーされるよりも、よく分からんけど面白そうな奴だと思われる方が目的を達成したと言えるのです。
なお、事例集が多く出回っていますが、ありきたりになりがちなので、むしろ見ない方が良いでしょう。
きれいに、正しく書くこと
汚い履歴書は見る前に外してしまいがちです。
達筆でないならば、ワードプロセッサを使うことをお勧めします。
また、誤字脱字は厳禁です。国語力に自信がない場合は、友人などにチェックしてもらうと良いでしょう。
必要十分な内容を、簡潔にまとめること
文量は、若い人ほど少なく、年配の人ほど多くなる傾向があります。
一般に年をとるほど通常の就職は難しくなるため、熱心度が表れているのでしょう。
文量については、スカスカよりは多い方が、真剣味が伝わって有利だと思われます。筆下手な人には、箇条書きがお勧めです。
また、大げさな表現や過剰修辞は慎みましょう。
記載事項および書き方
<氏名・生年月日・住所・連絡先>
漏れなく正確に書きましょう。
<学歴>
学歴は、小学校の入学から書くのが無難です。
最終学歴以外は、入学だけで卒業まで記載する必要はありません。
<職歴>
職歴は、原則として雇用契約を締結したものをすべて記載します。ただし、アルバイトや個別の派遣先まで記載する必要はありません。
各勤務先については、会社名と入社時期のほか、管理職であった場合は就任時期と役職名を、管理職でなかった場合は「○○業務に従事」と主な業務を記載します。詳細な業務内容や表彰歴などは、ここでは触れず、職務履歴書でアピールします。
各勤務先の退職時期を記載する必要はありませんが、直近の勤務先を退社している場合はその旨と時期を記載します。
最後に「現在に至る」として締めます。
<資格・免許>
資格・免許については、書けるものは全て書くと良いでしょう。
業務に関係なさそうな資格、例えば調理師、栄養士、ボイラー技士、スキー指導員等など、話のネタになればラッキーです。語学も、TEICであれば600点、英検なら二級以上は書いても違和感はありません。
また、未取得の資格・免許でも、勉強中と書くことは悪くはありません。
ただし、採用を行う企業の業種や求人の内容にもよりますが、一般的に資格・免許自体で評価されるのは、法律系であれば行政書士や宅建主任者以上、会計系は簿記2級以上、その他の資格としてはPC系、秘書検定なども考えられます。
<志望動機>
志望動機は、求職者の人となり、地頭の良さを見る重要なポイントです。
単に「貴社の事業に興味があり」とか「貴社の人を大切にするという方針に惹かれ」というのでは不十分です。例えば、「自分はこういう強みがあるあるいはこういうキャリアプランを持っているため、貴社の○○事業にこういう関わり方ができる、あるいは貴社の○○の経営方針に私の志向がマッチすると考え」とすると頭が良さそうで説得力が高まります。
変則的な攻め方として、「大企業より活気があって楽しそう」、「ベンチャー企業なので頑張れば早く出世できる」、「将来は独立起業したい」といった事例があります。
これらは、人事採用担当者によって評価が分かれるところでしょうが、在り来たりなものよりは効果的だと思われます。
なお、書きたい志望動機が複数ある場合は、箇条書きにして簡潔に書くと良いでしょう。
<自己PR>
自己PRも、人事採用における重要なポイントです。
自己PRでは、書ける事柄があれば、具体的な現有スキルやキャリアを箇条書きにするのがベストです。例えば、「監査対応以外の経理実務を十分にこなせる」、「上場準備チームの一員として○○業務を担当した」、「営業成績1位で表彰された」、「○○事業の責任者として事業の立ち上げを行い月商○○を達成した」、「○○事業のマネージャーとして○名の部下を統率し○○の成果を上げた」といった事柄です。
はっきりと自慢できる事柄がない場合は、現有スキルやキャリアには触れない方が無難です。「我慢強い」、「明るい」、「人付き合いが良い」といった自分の長所を絞り、説得力のあるエピソードで補完したり、あるいは微笑ましさや情熱的な感じを演出して好感度を高めると良いでしょう。
履歴書の補足資料
一定のキャリアがある場合は、職務履歴書などとして履歴書を補強すると良いでしょう。
職務履歴書を書く際には、自由に書けるだけにより注意が必要です。
注意点としては、上記に述べたポイントに加え、次のような事項があげられます。
1.無理に書かないこと
職務履歴書は文章量が多くなると、読む方は辛くなり、PRしたい点がぼやけてしまうことにもなります。また、自分のキャリアを事細かに網羅して「自分史」のようになると、自意識過剰との印象を持たれてしまいます。
そのため、キャリアの細部に触れるのではなく、客観的にPRするに耐えうる情報を過不足なく記載するよう努めましょう。キャリアを膨らませようとして無理に情報を増やすのはかえって逆効果です。
2.客観的な情報と主観の言及を峻別すること
書き方に決まりのない職務経歴書とは言え、主観と客観を混同しないよう注意する必要があります。
例えば、キャリアの説明は極力客観的な情報に留めるべきであり、「勤務先や取引先から高い評価を得る」、「達成感を味わった」、「大いにスキルが高まった」といった記述はかえって信頼性を低下させます。
逆に、志望動機や自己PRの箇所は主観で書かれるべきものであり、客観的な表現は根拠のない自信に見えて読む人に違和感を与えます。例えば、「私のスキルとキャリアは貴社で発揮される可能性が高い」、「客観的に見て私は貴社の求人内容に最適である」といったものです。
3.時系列で分かりやすく整理すること
キャリアの記述は、時系列で勤務先ごとに整理しましょう。また、勤務先ごとに、そこで培ったスキルを箇条書きで記載すると、業務内容との因果関係が分かりやすく説得力が高まります。
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