パーキンソン病の治療

薬物療法を中心に、外科療法、リハビリテーションなどがあります。また、細胞移植などの先端的な試みも行われています。
なお、日本では昭和53年10月1日に特定疾患治療研究事業対象疾患に指定され、公費受給が可能となっています。ただし、Hoehn-Yahr分類の3度以上が認定の目安となるため、病初期の治療は健康保険の範囲内で自己負担せざるをえない状況です。

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1.薬物療法:


1-1.ドーパミン補充療法:
ドーパミンの前駆物質であるレボドパを投与するものです。ドーパミン脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパ(商品名メネシット、ネオドパストンなど)あるいはベンセラジド(商品名イーシー・ドパール、ネオドパゾール、マドパー)との合剤を用いることが一般的です。ドーパミン補充療法は、パーキンソン病の主特徴に対して、きわめて有効に働きます。現在の最主流の薬物治療ですが、長期にわたる服用によりオン・オフ現象(突然薬の効果がきれ体が動かなくなる)やウェアリング・オフ現象(内服直後や時間がたった時に効果が突然切れる)、ジスキネジアといった副作用(運動合併症)が現れます。このため、現在では初期治療としてはドーパミン受容体作動薬から投与することで、少しでもレボドパの内服開始時期を遅らせる治療法が一般的となっています。

1-2.ドーパミン受容体作動薬:
ドーパミンアゴニストとも呼ばれます。麦角系としてカベルゴリン(商品名カバサール)、ペルゴリド(商品名ペルマックス)、ブロモクリプチン(商品名パーロデルなど)、非麦角系としてプラミペキソール(商品名ビ・シフロール)、ロピニロール(商品名レキップ)、タリペキソール(商品名ドミン)などがあります。認知症を伴わない70歳未満の患者については、レボドパではなくこちらを第一選択とすることが推奨されています。幻覚などの精神症状が強く出やすいため、認知障害のある患者では投与を避けます。

また麦角系ドーパミンアゴニストでは重篤な副作用(心臓弁膜症や間質性肺炎など)を起こすことがわかり、新たに投与を開始する場合はまず非麦角系薬を選択し、治療効果が不充分であったり忍容性に問題があるときのみ麦角系薬を使用することになっています。


1-3.ドーパミン放出薬:
アマンタジン(商品名シンメトレルなど)は、もともとインフルエンザ治療薬として開発されましたが、本剤を投与されたパーキンソン病患者の運動症状が改善されたことから、抗パーキンソン病薬としても認められるようになったものです。

1-4.その他のパーキンソン病治療薬
・MAO-B阻害薬
・COMT阻害薬
・抗コリン薬
・ノルアドレナリン作動薬
・非運動症状に対する治療薬



2.外科療法:


脳の深部に電極を固定します。外科療法の適応となるのは、L-ドーパによる治療効果があり、治療が十分に行われたがADL(日常生活で行う活動)に障害をきたしている場合です。ただし認知障害があったり著しい精神症状がある場合、重篤な全身疾患がある場合には適応除外となります。年齢による適応の制限はありません。


3.リハビリテーション:


3-1.運動療法:
患者はパーキンソン病の進行につれて運動が困難になっていきますが、放っておくと廃用によって二次性の筋力低下や関節拘縮をきたすことがあるため、極力運動を行うように心がけることが大切です。またそのことによって少しでも症状の進行を遅らせることができるともいわれています。近年はパーキンソン病体操なども開発されています。

3-2.音楽療法:
運動療法と組み合わせて音楽を用いたリハビリテーションを行うだけでなく、音楽の持つリラクゼーション効果やヒーリング効果に期待するものです。歩行訓練を伴わない音リズムだけによる刺激によっても、パーキンソン病の歩行障害(小刻み歩行や歩行速度の低下)が改善したとする報告があります。

パーキンソン病(Parkinson's disease)は、

脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す疾患です。神経変性疾患の一つです。日本では難病(特定疾患)に指定されています。本疾患と二次性にパーキンソン病と似た症状を来たすものを総称してパーキンソン症候群と言い、本症はパーキンソン症候群を示す病気の一つです。

パーキンソン病は、10歳代~80歳代まで幅広く発症しますが、中年以降の発症が多く、高齢になるほど発症率および有病率は増加します。20歳代の発症はまれです。40歳以下で発症した場合を若年性パーキンソン病と呼びますが、症状に差はありません。 日本における有病率は10万人当たり100~150人といわれます。欧米では10万人当たり300人と見積もられており、日本の有病率はやや低いですが、明らかな人種差や地域差があるかは不明です。厚生労働省の2005年(平成17年)患者調査では、パーキンソン病患者は約14万5千人となっています。

パーキンソン病の主な原因は、

中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性です。ほとんどの症例が孤発性(非遺伝性)であり、そのほとんどについては、神経変性の原因は不明(特発性)です。遺伝による発症もあり、いくつかの病因遺伝子が同定されています。その他毒素、頭部外傷、低酸素脳症、薬剤誘発性パーキンソン病もわずかながら存在します。

パーキンソン病の症状には、

大別して運動症状と非運動症状があります。非運動症状のなかには、精神症状、自律神経症状などが含まれます。また、パーキンソン病は、高率に認知症を合併します。

パーキンソン病の治療は、

運動症状や精神症状、自律神経症状にたいする対症療法がほとんどです。しかしながら、神経変性の機序が明らかになるにつれ、変性すなわち症状の進行を遅らせるための治療法(神経保護薬による治療法)が試みられるようになってきました。また変性した神経を再生させる遺伝子治療や幹細胞移植などの根本治療も現実的なものとして視野に入っています。

パーキンソン病は、それ自体で生命を落とす疾患ではありません。パーキンソン病患者の死因としては、臥床生活となった後の身体機能低下による感染症(下気道感染や尿路感染)、転落による外傷などが原因となることが多いとされます。

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